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【SIerとWEB系の違いとは?】SIerとWEB系企業のどっちに就職する?

就活ノウハウ
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エンジニアを志す就活生にとって、WEB系企業やSIerのどっちに就職するのか?というのは、悩むところでしょう。SIerとWEB系企業の両方で勤務経験のある筆者が業界の違いと、オススメの選択とキャリアを紹介します。

SIer(システムインテグレーター)とWEB系企業の特徴

 SIerとWEB系企業のどちらも同じIT企業ですが、評価制度や文化には大きな違いがあります。まずはそこを理解しましょう。

SIer(システムインテグレーター)

 SIerは、NTTデータ、野村総合研究所、富士通、NEC, 日立製作所など事業会社からシステム開発を受託し、開発を行う企業です。

特徴1:平均年収が高い

SIerはWEB系企業と比較して、給与が高いです。中には30歳で年収1000万近くに到達する企業も存在します。

特徴2: 年功序列で評価が横並び

SIerの多くは伝統的な文化の会社が多く、評価制度も年功序列の会社が多いです。そのため、年功序列で給与が上がっていきます。成果に対して大きく給与が跳ねることはないですが、安定して昇給していきます。

特徴3: 品質重視の大規模開発が中心

SIerの扱うシステムは社会的意義の大きなものが多く、停止すると会社の業務そのものが回らなくなったり、クレジットカードの支払いができなくなるなど社会的に混乱を伴うものを大きく扱っています。結果的に失敗が許されておらず、しっかりと計画を練った上で、開発期間もしっかりとバッファを持たせた重厚なウォーターフォールでの開発が中心になります。

特徴4: 技術よりマネジメント力重視

SIerの就職実績を見ると、文系の学生も多く就職していることに気がつきます。SIerは、自らコーディングするわけでなく、実装を外注することでそのマージンで利益を上げます。そのため、業務に必要なのはコンピュータサイエンスの知識ではなくて、多くのステークホルダーと調整を行い、プロジェクトを円滑に回すスキルです。キャリアパスもプロジェクトマネージャーしかないと言っても過言ではないでしょう。下記の記事でも詳細を解説していますので、ぜひ下記記事をよんで理解を深めてください。

SIerの解説記事

特徴5: 開発環境や技術がレガシーなのものを好む

SIerで求められるのは高品質なシステムとプロジェクトを円滑に回すことです。プロジェクトの不確定要素が増えることは、品質の維持を難しくしたり、プロジェクトの予測を立てづらくします。その結果、新しい技術ではなく実績のある枯れた技術を好んで利用します。また、開発環境なども情報漏洩などを恐れて、導入に億劫になる傾向にあります。そのため、IT企業ではありますが、働き方が古いということも多々あります。

特徴6: 終身雇用を前提としており、中途入社社員が少ない

 SIerは終身雇用を前提としている会社が多く、WEB系企業と異なり人材の流動性が低いため、中途社員が少ないです。とはいえ、まったく中途社員がいないというわけではなく、中途での求人も転職市場に出ているため、一定の中途入社の社員もいます。しかし、社内の制度も新卒で務めたほうが得をするような制度になっていることも多いです。

WEB系企業

Google, Amazon, メルカリ、Line、Yahoo、リクルート、楽天、などが有名なWEB系企業に該当すると思います。自社でサービスの開発を行っており、コーディングする人材が自社内に多くいるのも特徴です。入社時にコーディングテストを課されることも多いでしょう。

特徴1: 平均年収がSIerと比較すると低い

 SIerと比較すると、平均年収があまり高くありません。これにはいくつか理由があると思いますが、SIerに比べて若い企業が多く、平均年齢が若いということもあります。また、評価制度が実力主義なところが多く、年功序列で給与が上がらないというところも理由としてあげられるのではないかと思います。一方で、GAFAに所属しているエンジニアはSIerの社員ではもらえないような給与をもらっており、実力次第でSIerに勤めるよりも高い給与をもらえる業界であると言えるでしょう。

特徴2: 年功序列ではなく、実力主義

 SIerとは異なり、年功序列ではなく実力主義で年齢に関係なく、給与が上がっていく会社が多いです。逆に能力がないと給与が全く上がらないというケースも珍しくないでしょう。

特徴3: 自社開発が中心

 有名なWEB系企業であれば、システム開発の多くは受託ではなく自社のサービス開発のため、やりがいを感じて取り組むことができるでしょう。また、サービスの開発の場合は、アジャイル開発が導入されているケースが多く、新しい技術なども取り入れやすい環境です。

特徴4: マネジメントも技術もどちらのキャリアパスも存在する

 SIerは人月での受託開発というビジネスモデルの都合上、コーディングは誰がやっても同じと考えています。一方で、WEB系企業はエンジニアのスキルがサービスの競争力になることを理解している企業が多く、エンジニアとしてのキャリアパスがしっかりと存在します。また、エンジニアとしてのキャリア以外にもプロダクトオーナーなどのキャリアパスもあり、エンジニアとしての経験を生かす他のキャリアパスも用意されています。エンジニア以外にもUXデザイナーなど、サービスの価値を生み出すための人材がいるのも特徴です。

特徴5: モダンな環境を好む

 SIerと異なり、終身雇用を求めて入社する人が少ないため、スキルアップを望むエンジニアが多いです。そのため、新しい技術の導入などに積極的な空気感や文化があります。また、会社としてもそういったことに理解がある場合も多いでしょう。

特徴6: 終身雇用を前提をしておらず、中途社員も多い

SIerに比べて、人材の流動性が高い業界なため、中途社員が非常に多いです。また、転職を前提で入社している人も多いため、社内の制度も終身雇用を前提にしていないものになっていたりします。

新卒ではどちらに入社がオススメ?

 私は新卒ではSIerを選びました。「WEB系に入社して通用しなかったら?転職なんて本当にできるの?」という不安と、「年収がSIerのほうが安定している上に高い」と考えてたからです。プロフィールにも書いた通り、私はWEB系企業に結局転職してしまいました。また、年収もSIerにいても40歳近くにならないともらえないような年収に30歳で到達してしまいました。そういった経験から、今の私の結論を述べます。また、ぜひ私のプロフィールもみてください。どんな経歴の人の意見なのか?というところは重要かと思いますので。

プロフィール

今の世の中の流れ(DXが進む世界)

 まず、どちらがオススメかを話す前に前提として世の中の動向をご説明します。みなさんご存知の通り、GAFAMがITの世界では覇権を握っており、そこに対抗できるのは中国の企業しかないという状況です。残念ながら、日本のITを支えてきたSIerの企業は勝ち目がありません。はっきり言って逆転は不可能でしょう。そもそも土俵にすら上がれていません。戦えてすらいないんです。サービスだけではありません。クラウドの領域もすべてやられてしまいました。じゃあ、WEB系企業がGAFAMに勝てるのか?といったら、そんな甘い世界でもありません。SIerであっても、WEB系企業であってもシステム開発の基盤のほとんどがGCP,AWS,Azureのいずれかという状況です。多くのIT企業が彼らのプラットフォームと共生していくことを選択せざるを得ない形になりました。

 そして、起きているのはIT企業への侵略だけではありません。AWSなどのパブリッククラウドは資本力のない企業にもシステム開発を容易なものにしました。多くのベンチャー企業が新たなサービスを生み出せる土壌を生み出しました。そして、インターネットは国境を容易に超えてきます。当然競争は激化します。彼らが作るサービスはITを中心にしたものだけにはとどまりません。さまざまな事業のビジネスモデルを破壊するようなものをテクノロジーを使って作ってくるのです。日本は「IT企業が負けたよね」ではなくて、すべての産業がITを使ったサービスによってビジネスモデルが変わり、そこに属する企業はその中心にいなければ潰されるかもしれないという状況です。

これからはすべてのサービスはITと切り離すことはできません。今ITをツールとしてしか考えていない会社もIT企業化してITでビジネスをしなければ、長期的な視点で見ると倒産してしまうでしょう。もはや、WEB系企業も事業会社もなく、すべての企業がWEB系企業のようにITを使ったビジネスをしないといけない状況になっているということを覚えておいてください。そして、今事業会社の経営者はこの事実に非常に危機感を持ってます。だから、私は事業会社にエンジニアとして入社して、高い給与をいただいて事業会社をIT企業に変える仕事をしているということなのです。「すべての会社がIT企業化するか、倒産するのか。」どちらかだという状況。それが日本のみならず、世界で起こっていることです。

 私自身は大手のSIerにいた時、この状況が見えたため、少しでも早く行動してスキルをつけなければならないと考え、SIerを飛び出しWEB系の会社に転職しました。今の私のキャリアを支えているスキルはWEB系の企業で学んだことばかりです。そのスキルが今事業会社の内製開発において求められているため、事業会社にエンジニアとして入社し、高いお給料をいただいています。もちろん、年功序列の日系企業に30歳で1200万円を支払えるような給与テーブルはありませんでした。今までは。でも、人事制度を変えてまで、エンジニアを直接雇用し自社をデジタル化しなければならないという強い危機感が日本の企業にも生まれてきているという状況になっています。

SIerとWEB系企業、どっちが良いの? 

すでにコーディングができる人はWEB系一択

 結論から述べます。コンピュータサイエンスを専攻しており、WEB系企業のコーディングテストを突破できるような学生は目先の給与に流されず、WEB系企業にいくことをオススメします。近い将来、日系企業でもコーディングができる人材がSIerでマネジメントをしている人材の給与を追い抜きます。というか、私個人で見ると、すでに余裕で追い抜いています。実際、GAFAMはすでにSIerより給与が高いですよね。その流れは、全ての業界に波及するでしょう。

 何故そのようなことが起こると考えているか?すべての企業が内製化を進め、上記で述べたようにIT企業化しないと生き残れない世の中になってきているからです。当然、すべての企業がエンジニアを欲するようになります。当たり前ですが、需要の供給のバランスで給与が上がっていきます。そして、そこで求められているのは、プロジェクトマネジメントがスキルが中心のエンジニアではありません。しっかりとコーディングができる人材です。パブリッククラウドで設計構築ができるとかコーディングができるとか手が動かせる人材なんです。でも、ずっとコーディングするだけではなくてマネジメントにキャリアを変えていきたいという人もいるでしょう。ちゃんとVPoEやテックリードなどのキャリアもあります。しかし、こういった職種につけるのはしっかりコーディングをしてきてエンジニアの気持ちがわかる人がつける職種なのです。コーディングはあまりやったことがなく、外注したり、単純作業だと考えているような人材に、手が動かせる人材はついてきません。将来的なキャリアが、コーディングを続けるのだとしても、マネジメントなのだとしてもWEB系企業の経験は必ず役に立ちます。そして、今後そのスキルがすべての企業に求められることになるでしょう。

今コーディングができない人はSIerという選択肢もあり

 残念ながら、有名なWEB系企業は新卒でもしっかりとコーディングテストなどを課してくる場合が多いでしょう。コーディングテストを未経験で突破することはできません。一方で、SIerはコーディングの経験がない人も入社させる前提で採用を行なっています。そのため、新卒から丁寧な研修が受けれるでしょう。また、一年目は開発をさせてもらえるケースもあります。そこでまずはシステム開発の基礎基本を学ぶのです。そして、モダンな開発は自分でやったり、プログラミングスクールに通うなりをすれば良いと思います。WEB系企業は若く努力する人材に寛容です。若いうちであれば、実績がなくても自ら学んで技術習得が行えていることがわかれば、転職できます。

 そして、SIerも今までのような大規模開発もSaaSなどの登場により減少し、パブリッククラウドにより開発工数も削減され、人月商売が成り立たなくなる可能性を感じています。作ったら後は「サービスが売れようが売れまいが関係ありません」というような単純な受託開発だけでなく、顧客と一緒にリスクを取りながら共創していこうというSIerとしてのあり方を模索している状況なのです。上記ですべての企業がIT企業化しなければならないと述べましたが、内製化にはエンジニアの人材不足などの問題があり、簡単にはできないことも事実なのです。SIerの立場であっても、今後は良い環境に巡り会える可能性もあるかと思います。そういった環境に身をおいており、SIerに残る選択をした元同僚もいます。大事なのは、SIerの終身雇用を前提とした制度と高い給与に満足し、周りに流され努力をしなくなる状態に陥らないことです。今の時代、インターネットを使えばいくらでも学ぶことができます。その努力ができれば、未経験からSIerに入社し、その後WEB系企業に転職するというのは若いうちであれば十分可能です。また、AWSやGCPといったクラウドベンダーに転職するという選択肢も視野に入ってくるでしょう。SIer出身者も多く在籍しています。

事業会社という選択肢は?

 事業会社の内製はかなり進んでおり、高待遇も期待できますがまだ過渡期です。現時点で新卒を雇う余裕のある会社はほとんどありません。中途社員が大半でしょう。また、現時点で優秀なエンジニアが多いのはWEB系企業であることが間違いなく、職場でつめる経験の観点でもWEB系企業が最適でしょう。そこでつんだ経験は事業会社で必ず評価されるので、まずはWEB系企業で経験をつみ、そのあとにリードエンジニアなどのポジションで事業会社というのが現実的かと思います。

まとめ

 結論としては、新卒でエンジニアを志す学生はWEB系企業がオススメです。何よりSIerの選考などでコーディングを製造と呼んだり、単純作業かのような話を聞くことがあるでしょう。が断言できます。間違っています。単純作業ではありません。コーディングなどのエンジニアの業務は一人で何百人もの労働を削減したり、一人で何人分もの成果が出せる普通の仕事とは異なる特性を持つ業務です。だからこそ、私はエンジニアとして高い給与ももらっているし、GAFAMもそうでしょう。マネジメントは確かに難しいし、大事な仕事です。しかし、コーディングを軽視する会社にDXはできません。アジャイル開発も無理です。給与などで迷う学生もいると思いますが、コーディングを好きな学生は惑わされないで欲しい。そのスキルを使ってマネジメントより高い給与をもらうことはちゃんとできます。そして、世の中を変えることのできる魅力もある。素晴らしい仕事です。昔の私のように安定や給与でファーストキャリアにSIerを選ぶ人もいるかと思いますが、もう終身雇用は期待できません。安定も給与も自分のスキルと力でつかまなければならないということを新卒の時、私は理解できていませんでした。

 私自身が学生の時、今私が歩んでいるようなキャリアがあることをしりませんでした。日本ではマネジメント側に行かないと出世もできないし給料も安いと思い込んでいたのです。「コードを書くこと、技術が好き」だという、一人でも多くの学生がこの記事を読んで、迷いなくコードを書くことを進路として選んでくれたら良いなぁと思っています。そして、もし昔の私と同じようにコードが書きたいのにマネジメントをしている人がいたら、思い切って転職してみることをオススメします。

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