就活、転職活動において学歴が重要かどうかは気にする人は多いでしょう。エンジニアでの就職時に学歴がどれくらい重視されるか、自身の転職や採用経験を元に話します。
学歴の重要性
エンジニアの就職においても学歴は重要です。しかし、優秀なエンジニアが必ずしも高学歴であるか?というと、そうではありません。では、エンジニアとして生きていく上で学歴はどのように扱われるのでしょうか?
なぜ学歴が重要か?
学歴が重要なのは、特に新卒の学生は感じているでしょう。しかし、実際にその理由について語れる人は多くはないのでしょうか?その理由は採用する立場になったことがないからでしょう。
学歴が高い人には努力できる人というバイアスがかかる
当たり前ですが、東京大学など名門の大学に入るのは簡単ではありません。地頭が良いこともあるかもしれませんが、努力をしていることは明白です。それだけでも努力できる人なんだろうなというバイアスが採用する側にはどうしてもかかってしまいます。これが採用に有利に働くのは明らかです。
仕事というのは、学業と違い答えがある世界ではありません。答えがない中でこれが答えではないか?ということを自分で考えながら進めていく必要があります。ですから、東京大学のような名門大学を出ていようと本質的にやることが違うので、名門大学の出身だから仕事もできるというのは直接的には繋がらないのです。しかし、逆にいうと学業という答えのある世界で成果を残したことは事実です。そこを一つの成果として就職において評価されるのは当然といえます。それは転職でも変わりません。
採用担当は何故採用するのかを説明しなくてはならない
日本の雇用制度では解雇は容易にできません。これは自社に合わない人材を採用してしまった時のリスクの大きさを意味します。当然、正社員の採用には慎重になります。採用が失敗したとなった場合、採用者は「なぜ採用したのか?」ということを問われます。そして、何より面接を通過させる時、「何故この人を採用するのか?」ということを説明しなくてはなりません。その時に有名な大学が経歴に書かれていれば、上司への説明も容易になり理解してもらいやすいのです。
例えば、有名な大学ではないが、面接でエンジニアとしてのスキルが高いと判断したとしましょう。しかし、上司や人事はエンジニアのことはわかりません。そうなってくると、彼らは学歴を見ます。当然、高学歴ではありませんが、なぜ採用したほうが良いのか?という説明が必要になります。私自身、高学歴なエンジニアに引けを取らない人材を多数見てきたため、学歴を重要視すべきな項目ではないと考えています。それでも、エンジニアでない人たちにそれを理解してもらうのは難しいと感じることが多いです。
人気企業はすべての人と面接する時間がない
採用というのは、書類の選考から面接までかなりのコストがかかります。特に大企業など応募の多い企業では、よりその傾向は顕著でしょう。そうなってくると、学歴を使ってフィルタをするしかなくなります。他に判断する経歴のない新卒は、特にその傾向が顕著でしょう。
業界によっても重要度は異なる
学歴はどの業界でも採用の指標として用いていると思いますが、SIerとWEB系企業でその重要度は変わってくるでしょう。SIer業界は比較的学歴を重要視していると思います。特に大手SIerにおいては、高学歴社員が非常に多く、学歴を重視していることがわかります。
一方で、WEB系企業には様々な学歴の人がいます。大学が有名かどうか?ではなく、そもそも大学卒ではない人もいます。これは、WEB系企業がコーディングテストの実施によって別の指標で地頭の良さを測れることや、実力主義の文化が強いことによるでしょう。
企業によっては、大卒でなければ採用しないといった考えやルールが根付いている会社も多いので、有名大学でなくても大学までは出たほうが良いでしょう。それにコンピュータサイエンスの基礎を大学で学ぶというのは決して無駄ではありません。私自身は実務で役立っていると感じることも多いです。
最も重要なのは、スキルと職歴
学歴は上記の通り、合否を決めるための要素の一つとして用いられるため重要です。しかし、エンジニアについては「職務経歴に記載されているスキル」と「どこの企業に在籍していたのか?という職歴」のほうがはるかに重要です。
スキルや実績の重要性
WEB系企業のエンジニア採用の場合、コーディングテストを課される場合が多いでしょう。このコーディングテストは必要最低限の地頭の良さとコーディングスキルを測ることができます。そのため、WEB系企業ではコーディングテストのスコアや面接での受け答えから感じられる技術力を非常に重視します。スキルが高ければ学歴関係なく、採用してもらえるでしょう。特に中途採用の場合は、即戦力を求めているためよりスキルを重視します。WEB系企業の業務は専門性が高いため、高学歴であってもスキルがなければ何の役に立たないことを採用する側はわかっています。今までの企業でどんな技術に触れ、どんな実績を出したのか?そして、どんな自己研鑽およびキャッチアップを行なっているのか?といったことが重要視されます。
SIerの場合は文系学生が多く入社することからわかるようにこれといった専門性は要求されておらず、新卒においては学歴が非常に重要な要素になってきます。技術力を重視しない業界のため、コーディングテストが実施されることは少なく、他に地頭の良さを判断できる指標がないからです。一方で、転職活動においては過去のプロジェクトマネジメント経験などWEB系企業と問われるスキルは異なるものの、学歴よりも実績を問われます。
職歴の重要性
例えば、Googleの出身者が自分の会社を受けにきたら、どう思いますか?おそらく、優秀なのだろうと思うでしょう。新卒の時は学歴しか経歴がない学生が大半のため、学歴が大きな判断要素として作用します。一方で、中途には職歴が付きます。これが非常に重要です。中途採用担当はこういった企業群から人材を採用できないか?という形で、自社が欲しい人材がいるであろう企業を知っています。そのため、そういった企業に在籍歴があれば面接で話してみようとなるのです。もちろん学歴も見るのですが、大学が有名大学でなくても職歴にターゲットの企業があれば、ほぼ気にしません。
そして、職歴で重要なのが「転職している企業や転職理由にしっかりとしたストーリーがあるか?」です。そこに一貫性のあるストーリーがなければ、またよくわからない理由で転職されると考えられてしまいます。また、経歴に空白期間がある場合はそこにも「なぜ空白期間があるのか?」というストーリーが求められます。
スキルがあれば、転職で大企業や有名企業にいける
上記の通り、スキルや職歴は学歴よりもはるかに重要です。新卒で学歴のない学生は大企業に入ることに大変苦労するでしょう。一方で、高卒や専門卒でも非常に高いスキルを持つエンジニアが大企業でエンジニアをしているのを何人も見てきました。最初の会社が小さな会社であっても、そういった会社でスキルをしっかりと磨けば、学歴がなくてもしっかりと評価してくれる大企業は存在します。
まとめ
新卒採用においては、学歴は非常に重要です。なぜなら、それ以外に評価する指標がなく、応募数も多いためです。しかし、WEB系企業の場合はコーディング試験など別の方法で個人の能力を測ることができる場合が多いため、SIerに比べて学歴は重視されていない傾向にあります。
中途採用においても学歴は重要な指標の一つですが、それよりも重要視されるのはスキルや職歴です。仮に東京大学を出ていたとしても、スキルやしっかりとした職歴がなければ全く評価されないでしょう。私に開発を教えてくれた師匠と呼べる人は大学を出ていませんでした。しかし、プログラミングが好きで毎日趣味でコードを書いており、非常に知見の広い優秀なエンジニアでした。そして、そのスキル一本でのし上がっていました。WEB系企業では、スキルがあれば学歴をはねのけて評価してもらえます。また、SIerにも大卒ではない人はいました。その方も非常に優秀な方でした。どちらも年収1000万を超えていました。このように中途採用においては、どんな学歴でもしっかりとしたスキルと職歴であれば、評価してもらえる可能性があります。新卒とは異なり、学歴の影響はゼロではありませんが、努力すれば誰でも戦えるのです。一方で、高学歴だから転職できるであろうといって社会人になってから胡座をかいている人は、中途採用のマーケットに出ると高学歴であるというアドバンテージをひっくり返されるでしょう。そして、職歴だけでもダメです。そこでしっかりとスキルがついていないと転職のマーケットでは相手にされません。即戦力を求める中途採用においては、有名な企業に勤めていたとしても面接でスキルがないことがバレて採用されないでしょう。
高学歴な人は、学歴は一つの武器です。さらに社会人になってからも努力し自らの経歴とスキルに磨きをかけてください。一方で高学歴じゃない人は腐らず、スキルと職歴に磨きをかけてください。学歴は中途採用では新卒ほど重視されず、社会人になってからのスキルと経歴でどうにでもなります。どんな人も「社会人になっても学びを止めず、向上心を捨てないこと」これがエンジニアとしての市場価値を上げ、年収1000万を超える上で大事なことです。もし、数年間エンジニアを続けているのにも関わらず、まだ自分の市場価値がどれくらいかわからないという人は、転職エージェントに登録して話を聞いてみましょう。あなたの市場価値を正直に話してくれるはずです(合格する可能性がない企業は紹介してくれない)。学歴がなくても、スキルや実績があれば学生時代には想像できなかった企業や高待遇なポジションを紹介してくれることもあると思います。もし、そういった企業が紹介されなければ能力不足です。そうやって、自分の価値を常に測ることで自らの市場価値を上げていきましょう。